オンライン時代でも「手書き」が求められる理由
ブログ記事の投稿がだいぶ滞ってしまいました。
さて、今年最後の記事は手書きに関する考察です。よろしければお付き合いください。
現場で感じた“読みやすい字”の重要性
近年、私たちの生活は非常にオンライン化が進みました。仕事の資料作成はパソコン、連絡はチャット、署名でさえ電子化され、日常の中でペンを持つ機会は確実に減っています。
しかし、そんな時代の流れとは裏腹に、「手書きで書かせる」ことを重視する試験や評価の場が、今もなお確かに存在しています。
少し意外に感じる方も多いかもしれませんが、コロナ禍以降、一部行政の就職試験(筆記試験)でも手書きへの回帰があるという話を知人から聞きました。
私自身、ある国家資格の二次試験対策として、受験者の方に手書きの文字の書き方を対面で2回に分けてレクチャーする機会がありました。
その過程で改めて痛感したのは、“きれいな字”よりも“読みやすい字”が求められているという事実です。
なぜ今も「手書き」が求められるのか
-
オンライン化が進んだ現代においても、手書きが必要とされる理由はいくつかあります。
その場で考え、その場で書く力を見るためパソコンで文章を書くと、推敲や修正が容易です。しかし、手書きではそうはいきません。
限られた時間の中で、頭の中を整理し、構成し、読み手に伝わる形で書き上げる力が求められます。
これは、実務における「瞬時の判断力」や「論理的な整理力」にも通じるため、今もなお評価対象として残っていると考えています。 -
文字そのものが“情報”になる
手書きの文字には、その人の姿勢や丁寧さ、読み手への配慮が表れます。特に採点者は、短時間で大量の答案を読みます。
その中で、読みやすい文字で書かれた答案は、それだけで“伝わる姿勢”としてプラスに働くのです。
試験には「内容」とは別に「印象点」があるという現実
今回レクチャーを行った受験者の方から、興味深い話を伺いました。
その試験では、採点基準に「印象点」と呼ばれる項目が存在するそうです。もちろん、正式に公表されているわけではありません。
しかし、複数の資格学校の講師や、採点経験者とされる方々の話を総合すると、答案をパッと見たときの印象が、一定の評価に影響する可能性が高いというのは、どうやら“業界の共通認識”のようです。私も手書きの履歴書をたくさん見てきましたが、共感する部分が多かったです。
印象点が低くなる例としては、次のようなものが挙げられるそうです。
-
- 回答欄が半分以下しか埋まっていない
- 文字を大きくして無理に埋めたように見える
- 走り書きのようで、読み手への配慮が感じられない
- 全体として雑に見えてしまう
これらは、内容そのものとは別に、答案の“見た目”が評価に影響する可能性があるということです。
もちろん、最も重要なのは内容です。しかし、内容が良くても、読みづらさや雑然とした印象によって評価が下がってしまうのは、非常にもったいないことです。
「きれいな字」より「読みやすい字」を目指す
多くの人は、字の練習と聞くと「美文字」を思い浮かべます。
しかし、試験で求められているのは、必ずしも美しい字ではありません。
求められているのは、採点者がストレスなく読める字です。これは、字の形そのものよりも、
-
- 行間の取り方
- 文字の大きさ
- 余白の使い方
- 文章のまとまり
といった“レイアウトの工夫”が大きく影響します。
これはまさに、読みやすさは技術だけでなく、構成力や取捨選択にも関わるという好例です。
今回は試験という特性から、試験時に気を付けるポイントを3つのみに絞り、できるだけ試験に集中できる工夫を行いました。
読みやすい字は規則性が高い字ということもできますので、試験においては一定のルールを意識することをお勧めしています。
手書きは、オンライン時代だからこそ価値がある
オンライン化が進めば進むほど、手書きの価値は相対的に高まっています。
-
- 手書きの文字には、その人の“人柄”がにじむ
- 読みやすさは、読み手への“思いやり”や“配慮”として伝わる
- その場で考え、まとめる力が可視化される
こうした要素は、デジタルでは代替しにくいものです。
だからこそ、今もなお、手書きが求められる試験が存在し、そしてその中で「読みやすい字」が評価されるのだと思います。
手書きは“伝える力”そのもの
今回の記事では、具体的な試験名には触れませんでしたが、現代においても「手書き」が重要視される場が確かに存在すること、
そしてその背景には、読み手に伝える力を評価する意図があることをお伝えしました。
次回以降の記事では、実際にどのように「読みやすい字」を書くのか、レクチャーでお伝えしたポイントや、改善のステップについて詳しく紹介していく予定です。
オンライン時代だからこそ、手書きの価値を見直すきっかけになればうれしいなと思いました。